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【FEエコーズ】ストーリー構成の感想

2024/08/18
(この記事の文字数: 2728)

先日、今更ながら『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』を初見プレイしました。センセーショナルなオープニングムービーから始まるストーリー構成について、初見プレイ時に感じたことをこの記事に書きます。

注意:この記事ではエコーズの重要なネタバレを含みます。また、覚醒の冒頭ストーリーや風花雪月のPVにも少し触れています。

冒頭に突きつけられる衝撃の未来

ゲームを起動すると、まず幼いアルムとセリカが、ドーマとミラの伝承が記された本を仲良く読んでいる姿が映し出されます。
「僕たちはずっと仲良しでいようね」と語り合う二人。

その微笑ましい光景に、同時に不穏な予感を覚えました。あからさまな“フラグ”を感じたのです。

そして、その嫌な予感はすぐに現実のものとなります。

ゲーム開始直後、オープニングムービーで見せられるのは、アルムとセリカが殺し合うという衝撃的な未来。

アルムはセリカを刺し、彼女の名を叫びながら嘆きます。――自分で傷つけた相手にすがるアルムの姿は、初見では理解できず、ただ困惑するばかりでした。


さらに印象的だったのが、竜の頭部。

タイトル画面にも登場していたこの竜の骨は、オープニングムービーでも強調されており、明らかに物語の鍵を握っていそうでした。

しかし、この時点では「何か大事なものなのだろう」という漠然とした印象しか持てません。

一体なぜ、こんな未来にたどり着くのか?

答えの見えないもどかしさに突き動かされるように、私は物語を先へ先へと進めました。

徐々に明かされる謎

物語を進め、4章セリカ編「ドーマの塔」に到達すると、ジュダによって、ミラが石化した姿を見せられます。

――これこそが、あの竜骨だったのです!

しかも、ミラと共に封じられていた聖剣ファルシオンも、この時点で登場します。
ただし、オープニングムービーで映っていた竜骨には剣は刺さっていませんでした。つまり、あの時アルムかセリカが手にしていた剣は、封印から解かれたファルシオンだったのだと推測できます。

しかし、なぜ封印された剣が抜け、二人が殺し合うことになったのかは、まだ分かりません。
謎が解けるどころか、むしろ新たな疑問が生まれ、ますます先の展開が気になるばかりでした。

伏線回収と衝撃の結末

物語はついに終盤、5章へ。

一時忘れかけていた冒頭の未来が、突然目の前に現れます。

暗闇から現れたドーマによって魂を囚われたセリカ。彼女はわずかに残った理性で「私を殺して」とアルムに訴えます。

当然戸惑うアルムに、ミラが語りかけ、ファルシオンを手に取るよう促します。

アルムが剣に触れると、彼の聖痕が輝き、ファルシオンの封印が解かれます。

そしてミラは「ファルシオンを信じなさい」と告げます。アルムとセリカは一騎打ちとなり、オープニングムービーで見たあの悲劇的な場面へと繋がりました。

しかし、物語はそれだけでは終わりません。
倒れたセリカの腹に刺さったファルシオンが光を放ち、セリカは宙に浮かび、傷口が癒えていきます。意識を取り戻した彼女は、再びアルムと歩むことができるようになるのです。

ファルシオンの力によるものか、あるいはミラの力か――明確な説明はありませんでしたが、
  • ミラが「ファルシオンを信じなさい」と繰り返し語っていたこと
  • ファルシオンにはシステム的に回復効果があること

この二点から考えると、ファルシオンの力による治癒と見るのが自然でしょう。

システム設定と物語がきちんとリンクしている点も好印象でした。

そして、その直後、いよいよ最終決戦へ――。
長い物語の果てに、ようやく冒頭で提示された謎が回収される、見事な構成だったと思います。

センセーショナルな導入が物語への関心を高めた

序盤にプレイヤーに提示された衝撃的な未来。
そこに至るまでの道筋が、物語を追うごとに少しずつ明かされていく展開は、常にプレイヤーの関心を引きつけ続けました。

「どうしてこうなるのか」を考えながらストーリーを進める体験は非常に面白かったですし、いざその未来に辿り着いたときには、納得感と驚きがありました。
意外性がありながらも、決してご都合主義に感じさせない自然な流れ。ストーリー構成の妙を感じました。

唯一惜しかったのは、セリカがジュダにあまりにも簡単に騙されてしまった点。ここだけはやや強引に感じましたが、それを差し引いても物語全体には非常に満足しています。

FEシリーズにおける「冒頭センセーショナル構成」

この「冒頭に衝撃的な未来を提示する」手法は、『ファイアーエムブレム 覚醒』でも用いられていました。


「メイキングオブファイアーエムブレム」のインタビューでは、以下のように語られています。

山上さんより「最初にドラマチックであれ」みたいな話がありました。プレイしてすぐ、最初の時点で心をつかむ、万人の心をつかむ、引き込まれるようなものにしてください、と。

シミュレーションRPGって、ちょっと難しいと途中で投げちゃう人もいると思うんです。でも、ストーリーの先を知りたくなれば頑張ってくださるんじゃないかということで、続きが気になるセンセーショナルなストーリーを序盤に持ってきてほしいということを強く言われていました。

メイキングオブファイアーエムブレムより

難易度の高いシミュレーションRPGにおいて、ストーリーへの興味を原動力にしてプレイヤーを引き込む。そんな狙いがあったようです。
エコーズでも、この方針が継承されていることがわかります。

マンネリ化への懸念も

もっとも、この手法があまりにも頻繁に使われると、シリーズファンにとってはマンネリを感じさせかねません。

タイトル センセーショナルな導入
覚醒 クロム死亡(断章)
エコーズ セリカ死亡(序章)
風花雪月 血の同窓会(PV)
エンゲージ 3章のあれ(最近の作品なので内容は自粛)

たしかに私は、エコーズ冒頭を見たとき「覚醒と似ているな」と思いました。
特に、味方同士が戦うシーンを強調する流れは、インパクトこそ大きいものの、続くと「またか」と感じる恐れもあります。

ただ、同じ「センセーショナルな導入」でも、展開やテーマを変えることで、マンネリ感は防げると思います。
たとえば『風花雪月』のPVも衝撃的でしたが、内容が全く異なっていたため、過去作と比べて既視感はありませんでした。

「最初にドラマチックであれ」という方針は、今後もFEシリーズにおいて重要だと思います。

私自身、ストーリーの続きが気になるからこそ、ゲームを進めたくなるタイプです。

だからこそ、これからの作品でも、冒頭からプレイヤーの心を掴みつつ、マンネリ化を避けるために新たな演出・新たなテーマを模索してほしいと期待しています。


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